冬場のキャンプや車中泊で電気毛布を使うためにポータブル電源を購入する方がいると思いますが、気温が極端に低い環境で使用すると本来の性能を発揮できず、通常より使える時間が短くなってしまいます。
寒い時こそ頑張ってほしいのに寒いのが苦手なのは皮肉なものですが、保温バッグにポータブル電源を入れて使うとバッテリーの持ちがどれくらい変わるのか検証してみました。
リチウムイオン電池は極端な暑さ寒さが苦手
スマートフォンやカメラなど、あらゆる製品で使われているリチウムイオン電池ですが、多くの長所がある反面、寒くなるとバッテリー内部の化学反応が遅くなって、取り出せる電気が少なくなってしまいます。
ポータブル電源で使用されているバッテリーもリチウムイオン電池が多く、気温が0度に近づくような環境では、取り出せる電気の量も少なくなってしまいます。
リチウムイオン電池の特徴
- 軽量・小型・高出力
- メモリー効果がない ※
- 自然放電しにくい
- 長寿命(500回くらい充電できる)
- 極端な低温や高温環境に弱い
- 長期間満タン状態が続くと劣化する
※ メモリー効果とは充電された電気を使い切らないうちに充電をくり返すと、充電容量が少なくなってしまう現象のこと。
低温環境では電池の使用時間が普段より短くなりますが、一時的な現象なので電池が適正温度に戻ると性能も回復します。しかし、35度を超えるような高温環境で使用した場合、電池に回復できないようなダメージを与えてしまう可能性があります。
寒いからといってストーブの前やホットカーペットの上に置いたままにするのは止めましょう。
使用した機材と検証環境
検証は この冬一番の寒波が来たタイミングで行いました。
ポータブル電源はJackery700、電気毛布は山善の75Wのものを使用。
部屋の窓を全開にして できるだけ室温を下げました。
保温バッグはサイズに余裕がなくて、コンセントを挿すには少し狭い…
もう一回り大きいのにすればよかった。
温度計のセンサー部分を保温バッグの内側に固定して
電気毛布のコードと一緒に外に垂らして
こんな感じで検証しました。
検証結果
電気毛布の設定温度を「中」にして、6時間使用した時の保温バッグ内の温度と室温の経過をまとめました。
経過時間 | 保温バッグ内 | 室温 |
---|---|---|
0 | 10.7度 | 2.2度 |
1時間 | 15.6度 | 1.5度 |
2時間 | 17.4度 | 1.2度 |
3時間 | 18.8度 | 1.4度 |
4時間 | 19.6度 | 1.5度 |
5時間 | 20.2度 | 1.5度 |
6時間 | 20.5度 | 1.5度 |
開始時に「100%」だったバッテリー残量は、6時間後には「56%」になっていました。
この56%が多いのか少ないのかを比較するために、1日前に同じような室温で保温バッグ無しの時の結果と、室温が16度の時の結果と比べてみました。使用時間は全て6時間です。
- 室温16度:バッテリー残量 68%
- 保温バッグ無し:バッテリー残量 51%
- 保温バッグ有り:バッテリー残量 56%
室温16度と0度に近い環境では大きな違いがでましたが、保温バッグ有りと無しでは思っていたほど差は出ませんでした。
【まとめ】たかが5% されど5%
保温バッグ有りと無しの差は、バッテリー容量の「5%」でした。
検証を行う前はもっと差がつくと思っていたので少々残念な結果になりましたが、何もしないよりかはマシだと思います。この5%の違いで朝まで寒い思いをしなくて済むかもしれません。
リチウムイオン電池は気温が0度近くになるような環境下で性能が低下するだけでなく、充放電をくり返すと電池が劣化してしまうため、電池を保護する意味でも保温バッグに入れることは意味があると思います。
検証の結果からポータブル電源から取り出せる電力を多くするには、冷やさないことが有効な手段であることが分かりましたが、リチウムイオン電池は高温にも弱いため、暖房器具の近くに置いたり無理やり温めるのは危険が伴うのでやめましょう。