suaoki製のポータブル電源はアマゾンや楽天で人気がありますが、その中に小型の「S270」があります。今回はコンパクトでありながら、ソーラー充電もできる S270にどんな特徴があって、どんな使い方ができるのかを検証していきす。
suaoki S270 の外観
正面にはUSBが4口もあって、そのうちの一つはUSB3.0。大型のポータブル電源でも2口しかない製品もあるので、この価格帯で4口もあるのは嬉しい。
背面にはDCポートが4つ。シガーソケットはDCポートに変換アダプターを接続して使います。
側面には非常に明るいLEDライトが2つ装備されています。スイッチを1回押すと点灯、もう1度押すと点滅します。ライトの下にある冷却ファンは静かです。
反対側の面には ACの差し込みが2口で、一口は3ピンに対応。
USBを使う時は上面のスイッチを押します。取っ手は持ち上げやすいように、本体にくぼみがあります。
取っ手を持ち上げるとこんな感じになります。
底面にはスペック表とゴム足が付いています。ゴム足は大きいので、斜面に置いてもしっかりとグリップしてくれます。
大きさはコーヒーと比べて分かるように、かなり小さくて重さも1.3kgしかありません。
- ACアダプター
- シガーライタープラグコード
- ソーラー充電ケーブル
- シガーライターメスソケット
- マニュアル
このクラスの製品でソーラー充電用のケーブルが付属するのは珍しいと思います
suaoki S270の特徴
- 軽量コンパクト
- ソーラー発電の能力が高い
- LEDライトが装備されている
- USBは急速充電に対応
- 高い安全性
- 2年間の長期保証
suaoki は小型の製品でも妥協はありません!
suaoki S270の出力性能
suaoki S270は、交流100V、直流12V、USBの出力が使えます。
ACとUSBを使用するときは、バッテリーの残量が5段階で表示されます。
バッテリー残量は5段階表示なので1メモリは20%になりますが、実際には最初の1メモリが減るスピードはとても遅く、全体を通して一貫していないません。
あとどれくらい使えるのか予測するのが難しいです
AC (交流) 出力
AC出力を使用する時は コンセントのマークのボタンを押します。使用中はLEDが点灯します。
AC出力の仕様
- 電圧:110V
- 出力周波数: 60Hz固定
- 出力 (定格):100W(瞬間最大:150W)
- 差込口:2口
- 波形:修正正弦波
AC出力の波形を測定器を使って確認したところ、ブロック状の波形の修正正弦波でした。修正正弦波は使える電化製品が限られるので注意が必要です。
波形の違い
ポータブル電源から出力できる交流には、大きく分けて正弦波と修正正弦波の2種類があります。
- 正弦波
-
正弦波の波形はなめらかな曲線で安定しているため、高品質な電力が供給できます。また家庭のコンセントからとれる電気とほぼ同じなので、ほとんどの家電が使えます
- 修正正弦波
-
それに対して修正正弦波はブロック状の直線的な波形をしています。そのため精密機器やモーターを必要とする電化製品、マイコン制御の電気毛布など波形に依存する製品は使えません。
実際にLEDの照明器具や充電器は普通に使えましたが、ACモーターの扇風機は、モーターから異音がしたので動かすのをやめました。
電化製品の使用について
マニュアルには「本製品は緊急状況用で、家電やデジタル製品の標準AC DC電流の電源として使用できません」と書いてあり、ACモーターを使用する電子機器には正弦波の使用を勧めています。
正弦波が必要な電化製品は一応動かせるというだけで、使うのは緊急時だけにした方がよさそうです
DC (直流) 出力
シガーソケット使う時は付属の変換アダプターを使います。
DCポートにスイッチはなく差し込むだけで使えますが、バッテリーの保護機能が働かないので、残量に注意しないと空になるまで使ってしまいます。
DC出力の仕様
- 電圧:12V
- 出力:10A(瞬間最大:15A)
- 最大出力:120W(瞬間最大:180W)
- DCポート:4口
一般的にポータブル電源の直流は、充電量が減るにつれて電圧が下がります。バッテリーの残量で電圧がどのように変化するのかまとめました。
バッテリー残量 | 電圧 |
---|---|
5メモリ | 12.53V |
4メモリ | 11.29V |
3メモリ | 10.96V |
2メモリ | 10.78V |
1メモリ点滅 | 9.83V |
フル充電の時に12V以上あった電圧は、残量が1メモリになった時には9.83Vまで下がってしまいました。電化製品にもよりますが12V用炊飯器の場合、ここまで下がるとうまく炊けなくなります。
普通に使えば炊き上がるまでものすごく時間がかかるか炊けなくなりますが、AC/DC 変換アダプターを使うと炊けるようになります。
USB出力
一番左のポートは急速充電のQC3に対応しています。残りの3口は、5V2.1Aです。
QC3.0の仕様
- 電圧:4~9V
- 電流:2.1A
- 最大出力:18W
- 差込口:1口
QC3ポートの急速充電対応規格は以下の通り。
- Apple2.4A
- USB-DCP-5V-1.5A
- QC2-9V-12V、QC3
- Samsung-AFC-9V-12V
- Huawei-FCP-9V-2A
バッテリー容量7500mAh のHuawei製のタブレットを残量20%から充電したところ、約17.4Wで給電していました。
経過時間 | バッテリー残量 |
---|---|
0 | 20% |
30分 | 43% |
60分 | 64% |
90分 | 86% |
フル充電 | 約2時間 |
ちなみに「5V USB 2.1 MAX」のポートは、3口とも「DCP-5V-1.5A」にしか対応していないません。
ACモーターの扇風機はうまく動きませんでしたが、DCモーターの扇風機は問題なく動きます。USB扇風機は消費電力が少なく、バッテリー容量の少ないS270でも長時間動かせます。
内蔵LEDは強力で使い勝手がいい
内蔵LEDライトはかなり明るくて、普通に懐中電灯くらいの光量があります。
真っ暗な部屋で 3メートルくらい先を照らすとこんな感じになります。かなり明るいですが、スポットライト的な明るさで 部屋全体を照らすような明るさではありません。
直線的なライトですが、天井に向けて照らすと光が反射して部屋全体をぼんやりと照らしてくれます。けっこう広い部屋でも、これくらいの明るさになります。(天井の壁紙が白色の場合)
普段の照明器具の明るさと比べるとかなり暗いですが、ライトが当たっている天井の真下あたりでは、これくらいの明るさがあるので、調理するくらいは十分可能です。
バッテリー容量 2716mAhのiPhone X をバッテリー残量20%からの充電を2回と、LEDライトを30時間点灯させた時点で、バッテリー残量の最後の1メモリが点滅し始めました。
仮に1日に10時間LEDライトを点灯させるとしたら、3日分の明かりとスマホ2回分の充電がまかなえます。
LEDライトのもう一つの機能として点滅機能がありますが、暗闇で自分の居場所を周りに伝えるのに役立つと思います。
ペットボトルをランタンとして使う
ペットボトルに水を入れて下から照らすと、光が反射してランタンみたいになるらしいのでやってみました。
ペットボトルの近くは明るくなりますが、光が強すぎるせいかペットボトルがギラギラ光って眩しいです。
スマホのライトの上に乗せてみたところ、丁度いい具合で眩しくもなく、ご飯を食べる時はこれくらいがいいなと思いました。
スマホって便利だなぁ!
suaoki S270の充電性能
suaoki S270は、AC、DC、ソーラーパネルから充電できます。
充電はDCの入力ポートに充電器のプラグを挿すだけで充電が始まります。充電中は青色のLEDが点灯点滅します。
- バッテリータイプ:リチウムイオン
- 容量:150Wh (40540mAh)
- 出力可能温度:-10度~40度
- 充電サイクル:約500回以上
ACアダプターからの充電
充電は本体のDC充電入力ポートにケーブルを挿して、アダプターをコンセントを挿すだけ。
- 入力:AC100~240V、50Hz/60Hz、0.8A
- 出力:15V、2000mA
アダプターにはPSEマークといって、安全基準を満たしていることを示すマークが表記されています。
S270には入力値が表示されないので、他のポータブル電源から電源をとって計ったところ、28~34Wで充電されていました。
ソーラーパネルからの充電
S270は小型のポータブル電源でありながらソーラー充電ができます。しかもチャージコントローラーは、発電効率の高いMPPT方式を採用しています。
チャージコントローラーについて
ソーラーパネルで作られた電気を適切にバッテリーに保存する装置にチャージコントローラーがありますが、発電効率のいいMPPT方式と発電効率の劣るPWM方式があります。suaoki S270はMPPT方式を採用しているので、PWM方式を採用している多くのポータブル電源と比べて発電量は多くなります。
汎用性が高いMC4コネクター
ソーラー発電用ケーブルのコネクターはソーラーパネルの標準的な規格のMC4コネクターなので、純正以外のお手頃なパネルも使えます。
- 制御方式:MPPT方式
- 入力電圧:13~22V
- 入力電流:2A(最大)
- 使用パネル:suaoki / 50W / 17V / 2.94A
MPPT方式とPWM方式の比較検証
本当は S270を使ってどれくらい違うのか比較したかったのですが、入力値が表示されないので代わりにsuaoki G500とjackery400で比較しました。
同じ日の同じ時間帯に同じソーラーパネルを使って充電したところ、発電量はJackery400(PWM)の31Wに対して、suaoki G500(MPPT)は40Wでした。
G500とS270は価格帯が違うので、同じチャージコントローラーを使用しているとは限りませんが、MPPT方式の方が29%も多く発電していました。
思った以上に違いがあって驚きました
シガーソケットからの充電
シガーソケットからの充電も他のポータブル電源を使って測定しました。
充電量を見てみると、なんと「0W」でした!
実際には何ワットかあると思いますが、値が低すぎて表示はゼロのままです。他のポータブル電源でも試してみましたが、結果はどれも同じでした。
そこで、カーインバーターとACアダプターを使って充電すると、36W~43Wの間で充電されていました。カーインバーターは300Wの正弦波のものを使用しました。
【まとめ】一家に一台ほしいポータブル電源
実際に使ってよかったところと、気になったところにまとめました。
- 軽量コンパクトで持ち運びが苦にならない
- 太陽光発電の性能が高い
- USBの性能が高い
- 内蔵LEDライトがかなり明るい
- 付属品が充実している
- 低価格帯では珍しい2年保証
- ACが修正正弦波
- バッテリー残量のメモリの減り方に一貫性がない
- シガーソケットからの充電が無いに等しい
性能だけをみれば、修正正弦波で容量も150Whしかないので特出したスペックではありませんが、災害時の備えとして考えると評価は変わります。
緊急時には明かりの確保と情報収集が重要になると思います。
スマホは通信手段だけでなく情報収集としても役立つツールですが、バッテリーが無くなってしまえば使えなくなります。
そんな時のために非常電源としてポータブル電源を用意することは有効な手段ですが、明かりの確保とスマホの充電という必要最低限の電源が確保できて、どこにでも持ち出せる大きさのS270は1台あると安心な防災グッズだと思います。
また、太陽光発電の性能が高いので、ソーラーパネルと組み合わせるとさらに長引く停電にも対応できると思います。