
今まで折りたたみ式のソーラーパネルは折り畳んでコンパクトにできることだけが特徴で、それ以外は値段が高くて性能面では据え置きタイプの劣化版というイメージを持っていました。
実際に折りたたみ式のソーラーパネルを使ってみると、発電量が高いだけでなく直接スマホやタブレットを充電できる、据え置き型にはない付加価値があることも知りました。
今回は折りたたみ式と据え置きタイプのソーラーパネルとの比較を交えながら、実際の使用感を検証しています。
なお今回使用した「Techoss ソーラーパネル 80W」はメーカー様から提供していただいたものです。
目次
Techoss ソーラーパネル 80Wの外観
折りたたみ式だから当然小さくなりますが、畳んだ状態のときは15インチのノートパソコンとほぼ同じ大きさ。
横幅は5cmと薄く、重さは2.5Kgしかありません。
持ち手には滑り止めが付いていて持ちやすく
身長162センチの大人が持つとこんな感じ。
広げても127.5センチなので、それほど大きくは感じません。
背面にはポケットがあって、付属品に加えてケーブル類も収まる余裕の大きさ。
実際に付属品の他に延長ケーブルとUSBケーブルを3本入れていますが、余裕で収まります。ケーブル類を別で持ち歩かなくて済むのは助かります。
ポケットの中にはコントローラーが内蔵されていて、発電中は緑色のランプが点灯。
背面の折りたたみ式のスタンドは、ベルトをピンと張ると角度を一定に保てます。また、スタンドを動かしてパネルの角度を調整することも可能。
これがけっこう便利でいちいちもたれさせる物を用意しなくていいのは助かります。
パネル四隅の穴は、ペグやロープを使って固定できます。
付属品はDC-DCケーブルと変換プラグと簡単な説明書。
変換プラグは10種類付属するので、いちいち買い足さなくていいのはありがたい。
変換プラグのサイズ(左から)
7.9mm×5.5mm、6.5mm×4.3mm、5.5mm×2.5mm、6.3mm×3.0mm、4.0mm×1.7mm、5.5mm×2.1mm、5.5mm×1.7mm、4.8mm×1.7mm、7.4mm×5.0mm、3.5mm×1.35mm
Techoss ソーラーパネル 80Wの特徴
私が使ってみて感じた特徴は以下の通り。
- 高い変換効率
- USB-CとUSB-Aの出力ポート搭載
- 各種保護機能
- 防水性能
高い変換効率
Techoss 80Wは太陽光の変換効率が 21.5~23.5% あるそうですが、これが実際にどれくらい高いのか見当がつかないので、据え置きタイプの「ECO-WORTHY 100W」を使ってポータブル電源「Jackery400」を充電して比較しました。
検証を開始したのは11月下旬の12:34で天候は快晴。ソーラーパネルはあらかじめ30分ほど放置して表面温度を安定させてから行いました。
ECO-WORTHY 100Wに繋ぐと発電量は62Wでした。今までこのパネルを使って検証していますが、大体これくらいの値を出してくれます。安定感は抜群です。
Techoss 80Wに繋いだところ、なんと64Wで発電していました!
まさか100Wの据え置き型を80Wの折りたたみ式が上回るとは思ってもいなかったので、かなり驚きです。
しかもこの後、1時間くらい雲がかからなかったので、ずっと60~64Wで安定していました。
パネルの表面温度の比較
ソーラーパネルは、表面温度で発電効率が変わるので比較しました。
検証開始後、暫くして日差しが安定している時に温度を測ったのが上の写真で、発電量の多い「Techoss 80W」の方が高いのは意外です。
発電効率について
ソーラーパネルは日差しが強くなると電流は上がる反面、パネルの表面温度が高くなってしまうので電圧は下がってしまい、結果的に発電量が下がります。ソーラーパネルの発電効率は表面温度が25度で最大になり、そこから1度上昇する度に0.5%低下するそうです。
曇りに強いのは据え置き型
検証を開始してから2時間後あたりから雲が出てきだすと、発電量にも変化がありました。
「Techoss 80W」は霞のような雲がかかるだけで、30~35Wくらいしか発電しなくなるのに対して、「ECO-WORTHY 100W」は同じ条件にもかかわらず、60W近辺で安定していました。
もちろん厚い雲に覆われると、どちらも1桁台まで落ち込みますが、曇がかかった時に強いのは明らかに「ECO-WORTHY 100W」です。
ECO-WORTHY 100Wはパネルを設置する角度も、シビアに合わせなくても発電してくれる印象で、それぞれのパネルのいいところが分かった検証となりました。
USB-CとUSB-Aの出力ポート搭載
ソーラーパネルは発電した電力をバッテリーに送ることしかできないと思っていましたが、Techoss 80Wはパネル単体でスマホやノートパソコンを充電できます。
ソーラーパネル裏側のコントローラーには、USB TYPE-Cを1口、TYPE-Aを2口装備していて、各ポートは接続された機器を自動的に検知して急速充電を行ってくれます。
各ポートの急速充電対応規格は以下の通り
USBポート | 急速充電対応規格 |
USB-C (PD3.0) | DC 5V 3A,、9V 3A、12V 3A、15V 3A、20V 3A |
USB-A (QC3.0) | Apple2.4A、USB-DCP-5V-1.5A、QC3 3.6V-12.0V、QC2 9V 12V、Samsung-AFC 9V |
USB-A (2.4A) | Apple2.4A、USB-DCP-5V-1.5A、Samsung 5V 2A |
USB-PDの出力に関して、ホームページ上では30Wまでの対応と書いてありましたが、実際には45Wと60Wにも対応しているようです。
実際に60W充電に対応したポータブル電源を充電してみました。
結果は「19.4V × 2.9A = 56.26W」で充電できました。ただし、晴天で日差しの強い時間帯という限られた条件の時のみ可能。
上の写真は MacBook Air 2019モデルをPD充電しているところで、付属の充電器と変わらない 32.9Wで充電されていました。下の表はその他に充電した機器。
端末と接続ポート | 充電量 |
Huawei nova 5T (TYPE-C) | 9.29V × 1.32A = 12.26W |
Xiaomi RedmiNote 9S (QC3.0) | 8.7V × 1.78A = 15.49W |
モバイルバッテリー AUKEY PB-Y32 (TYPE-C) | 9.11V × 1.8A = 16.4W |
注意ポイント
USBポートは3口あるので同時に3台までの端末を充電することが出来ますが、その場合、合計の出力は最大で4.8A。
ソーラーパネルだけで充電が完結するのはすごく便利!非常時にも役立ちそうです。
Techoss ソーラーパネル 80Wの各種保護機能
ソーラーパネル本体や接続した端末を守るための機能も備えています。
- 過充電保護(満充電になった端末に負荷をかけない)
- 過電流保護(想定以上の電流が流れた時に出力を止める)
- 逆流電防止(バッテリーからソーラーパネルへの電流の逆流を防ぐ)
リチウムイオン電池に充電するため、安全への配慮はありがたい。
Techoss ソーラーパネル 80Wの防水性能
スマートフォンなどのスペック表を見ると、防水性能の項目に「IP65」や「IPX4」のように記載されていますが、これは防塵防水性能を表しています。
IPに続く3文字目に防塵レベル、4文字目に防水レベルが記載されていて「IP65」の場合「防塵性能がレベル6」で「防水性能がレベル5」ということになります。
「IPX4」の場合、防塵性能の「X」は省略を意味しています。(防塵性能が無いわけではありません)
Techoss 80Wは「IPX4」なので、少々の雨や水しぶきに当たっても大丈夫なレベルで、夕立のような土砂降りには対応していません。
急な雨対策としてスマホやモバイルバッテリーくらいの大きさの物は、背面のポケットに入れて充電しています。ただし夏場はパネルからの熱や地面の照り返しもあるので止めておいた方がいいでしょう。
また、コントローラー部分も濡れないようにチャックを閉めてケーブルだけ出すようにしています。
延長ケーブルはあった方がいい
日差しがそれほど強くない季節や気温が低い日は問題ないかもしれませんが、真夏の炎天下や急な雨降りのことを考えると、ポータブル電源やスマホは屋内に置いて、延長ケーブルを使って充電できるようにした方が安心です。
DCケーブルの場合
Techoss 80Wに限らずほとんどのポータブル電源やソーラーパネルに付属するケーブルは短いものが多く、Techoss 80Wも150センチルしかありません。
今回利用したのは5メートルの延長ケーブルで、余裕を持って10Aのケーブルを購入しました。
上の写真は付属のケーブルに延長ケーブルを繋いだもので、大体ガレージのシャッター2枚分の長さになります。
この時、延長ケーブルをソーラーパネル側に繋ぐと、接続部分を屋内に持ってこれるのでオススメ。
送電ロスは3~4Wで、別記事で試したソーラーケーブルの3メートルで1Wのロスと比べると大きいですが、ポータブル電源を野ざらしにするよりマシです。
USBケーブルの場合
USBのケーブルは、TYPE-C to C、TYPE-A to C ともに3メートルのものを使用しました。TYPE-C to CはUSB2.0なので転送速度は遅いですが、充電のために使うので問題なし。
上の写真はポータブル電源を充電している時のもので、ケーブルの長い短いで違いはほぼありませんでした。それ以外の端末は以下のとおり。
端末と接続ポート | 1メートル | 3メートル |
MacBook Air (C to C) | 34.58W | 34.7W |
Redme Note 9S (A to C) | 18W | 17.9W |
USBケーブルの場合、長さを変えてもほとんど差がないことが分かりました。
Techoss 80Wは非常時の有効な備えになる
Techoss ソーラーパネル 80Wを使ってみて、よかったところとイマイチなところにまとめました。
よかったところ
- 出力が高い
- 持ち運びに便利
- ソーラーパネルだけでスマホやパソコンを充電できる
- 防水性能
- スタンドが便利
イマイチだったところ
- 雲の影響を受けやすい
- ケーブルが短い
- 据え置きタイプより高い
Techoss 80Wは、今までの固定観念を覆してくれた製品で、特にソーラーパネルだけでスマホやパソコンを充電できるところが気に入りました。
防水性能や耐久性能は据え置き型には敵いませんが、発電量が高く持ち運びもしやすいので、コンパクトなポータブル電源と組み合わせると、非常時に持ち出せる有効な備えになると思います。
今まで災害が起こった時には自宅に留まってやり過ごすことを想定していましたが、家から離れる時のことを考えた備えも準備しておいた方がいいなと感じさせられた検証となりました。