小型軽量で気軽に持ち出せるポータブル電源の「Jackery400」の後継機種にあたる「Jackery 300 Plus」が発売されました。Jackery400は発売から4年以上経過してスペックや仕様が古く感じるようになりましたが、新型になり改善され新しい機能も追加されました。
この記事では、Jackery 300 Plusを実際に購入して使って感じたことをJackery400 との比較も交えながらレビューしていきます。
Jackery 300 Plus のいいところ
Jackery 300 Plusを使って良かったと感じたところは以下の4点。
- 小型軽量で持ち運びが楽
- 充電アダプターが無くなった
- 停電時に役立つLEDライト
- 安心のサポート
小型軽量で持ち運びが楽
本体サイズは「23cm ✕ 15.5cm ✕ 16.7cm」と非常にコンパクトで、重さは「3.75kg」しかありません。折りたたみ式の取っ手は、しっかりとした作りで持ちやすく、小さな子供や年配の方でも取り回しがしやすいポータブル電源になっています。
ポータブル電源を非常時の備えとして考える人もいると思いますが、重たい大容量の製品より小容量でも必要最低限の電気が確保できて持ち運びしやすい製品のほうが役に立つと思います。
気軽に持ち運べるから普段使いにも活躍しています
充電アダプターが無くなった
Jackery 400では充電中にアダプターがかなり熱くなって、夏場は卓上扇風機で冷やしながら充電していましたが、Jackery 300 Plusは本体にケーブルを繋ぐだけなので、充電中の心配事が減りました。
充電中は本体のファンが回りますが、気にしないと気付かないレベルの音量で、充電時間は「0% → 100%」まで約2時間でできるようになり使い勝手がかなり向上しました。
個人的には Jackery400からアップデートして一番良かったポイントです
停電時に役立つLEDライト
内蔵LEDライトは小型な割に結構な光量があります。光量は変えることは出来ませんが、スイッチを押すたびに「常時点灯」と「点滅」が切り替わります。
ライトは懐中電灯のようなスポットライト的な光ですが、天井に向けて照らすとボンヤリとではあるものの部屋全体を照らしてくれます。イメージとして上の写真くらいの明るさにはなるので、食事をするくらいは十分可能です。
消費電力はポータブル電源の表示で1Wと非常に少なく、停電が長引くようなことがあっても明かりの確保はできると思います。ただし、消費電力が少な過ぎてバッテリー残量の表示が減らないので、正確な残量が分からなくなってしまいます。
ファームウェアのアップデートで改善されることを期待します
安心のサポート
ポータブル電源は安い買い物ではないし長く使うものだから、しっかりとした保証がある製品を選びたいものです。
Jackery 300 Plus のサポート
- 5年間の長期保証
- 無償回収・リサイクルサービス
Jackery 300 Plusは 3年保証に加え、2年の自動延長で5年間に渡り保証されます。私は Jackery700を保証が切れる少し前に故障して新品に交換してもらった経験があるので、保証が長いことのメリットを実感しています。
とは言ってもいくら保証が長くても いつかは壊れて使えなくなる日が来ます。モバイルバッテリーのように小型でリサイクルマークのあるリチウムイオン電池は家電量販店の回収BOXで処分できますが、現状ポータブル電源は引き取ってもらえず、自治体などに問い合わせて処分しなければなりません。
送料は自己負担になりますが、Jackery 製品は処分に関する費用は無料で引き取ってもらえるため、最後まで安心して使うことができます。
無償回収の注意点
- 日本国内で販売されたJackery ポータブル電源本体
- 日本国内に居住または滞在中のお客様
- 費用は無料、ただし送料は自己負担
アプリを使ってカスタマイズ
Jackery400 には無かった機能の一つにアプリが使えるようになりました。アプリは「App Store」や「Google Play」からインストールしてブルートゥースでペアリングするだけなので簡単に使えます。
アプリでできること
- AC出力、DC出力のオンオフ
- 通常モード、節約モードの切り替え
- 省エネモードの設定
- 自動OFF時間の設定
- ファームウェアのアップデート
- マニュアルが見れる
この中で便利な機能は「モードの切り替え」で、節約モードに設定するとバッテリー残量が「15%」になるとポータブル電源の出力が「OFF」になり、さらに充電は「85%」になると給電がストップされるので、バッテリーに負担がかからないように使用できます。
ただし、現時点ではEcoflowのアプリのように細かな設定ができないので、今後のファームウェアのアップデートで実装されることを期待しています。
Jackery 300 Plus のスペック
「Jackery 300 Plus」と前モデルの「jackery 400」のスペックを比較しました。
Jackery 300 Plus | Jackery 400 | |
---|---|---|
バッテリー容量 | 288Wh | 403Wh |
サイズ | 23 x 15.5 x 16.7cm | 23 x 15.3 x 16.7cm |
重さ | 3.75Kg | 4.1Kg |
AC出力 / 瞬間最大 | 300W / 600W | 200W / 400W |
USB-A | 1口 | 2口 |
USB-C | 2口 | なし |
シガーソケット | 12V / 10A | 12V / 10A |
充電サイクル | 3000回 | 500回 |
動作温度 | -10度~45度 | -10度~40度 |
Jackery 300 Plusは長寿命のリン酸鉄リチウムイオン電池を採用することで充電サイクルが6倍になり、毎日1サイクル使ったとしても8年以上使えるようになりました。
充電サイクルとは
よく勘違いしがちなのが充電した回数で、これは間違い。
「充電サイクル」はバッテリー容量を100%消費した時点で1回とカウントされます。
例えばバッテリー残量が100%の状態から50%を消費した後、100%まで充電したとします。この時点では1回とはみなされず、そこから更に50%消費した時点で1回とカウントされます。
充電サイクルの 6倍差は大きな違いです!
Jackery 300 Plus の外観
本体の前面にすべての出力とスイッチが配置されていて、Jackery400には無かったLEDライトも前面に配置されています。
向かって右側面にはAC充電用の差込口があるのですが、端子が剥き出しになっています。個人的には何かしらのカバーのようなものが欲しいですね。
反対側は通気口のみ。ファンの音は給電中も充電中も静かで睡眠中でも気にならないレベル。
背面にはポータブル電源の仕様や注意事項が書かれたシールが貼ってあります。できれば水平に貼ってほしかった…
底面にはしっかりとしたゴム足が付いています。
折りたたみ式の取っ手はしっかりとした作りで持ちやすいのですが、オレンジの部分はプラスチック製で滑り止めの効果はありません。
付属品はAC用の充電ケーブル、DCプラグからUSB-Cへの変換プラグ、マニュアルと保証書で、今までJackery製品に付属していたシガーソケット用の充電器や収納用のポーチはない。
Jackery 300 Plus の出力
Jackery 300 plus の出力は AC100V、USB-A、USB-C(PD100W)、シガーソケットが使用できます。使い方は主電源を入れてから使いたい出力のスイッチを入れるだけで、すべての出力は同時に使えます。
AC(交流)出力
AC出力の仕様
- 電圧:100V
- 出力周波数:50Hz / 60Hz
- 出力 (定格):300W
- 出力 (瞬間最大):600W
- 差込口:1口
- 波形:正弦波
ACの電圧を測定したところ 101.4V。この電圧は日本の一般家庭とほぼ同じで、バッテリーの残量が少なくなっても下がりません。波形も正弦波といって滑らかな波形をしているので、出力の範囲内であれば ほとんどの家電が使えます。
USB出力
USB出力は PD給電可能なUSB-Cが1口、非対応のUSB-Cが1口、USB-Aが1口の構成になっています。
USB-CはPPSに対応
「PPS」とはUSB PDに追加された拡張機能で、電圧と電流を最適化して電力ロスを最小限にする仕組みです。PPSを利用するにはデバイス側でも対応が必要ですが、電力ロスを少なくするPPSはポータブル電源には最適な給電方式です。
- 5.00V × 3.00A = 15W
- 9.00V × 3.00A = 27W
- 12.00V × 3.00A = 36W
- 15.00V × 3.00A = 45W
- 20.00V × 500A = 100W
- PPS 3.3-20.0V × 5.00A
PDではないUSB-Cは「Apple2.4A」「DCP-1.5A」「サムスン 5V-2A」に対応しています。
USB-Aは Apple2.4AとDCP-1.5Aのみ対応
USB-Cの普及とともに使用頻度の下がったUSB-Aポートは「APPLE2.4A」と「DCP-1.5A」にしか対応していませんが、個人的には LEDライトの電源を取るくらいなので困りません。
シガーソケット出力
シガーソケット出力の仕様
- 電圧:12V
- 電流:10A
- 最大出力:120W
- 差込口:1口
低価格帯のポータブル電源のシガーソケット出力は、バッテリー残量が減ると電圧も下がる製品もありますが、Jackery 300 Plus は残量が少なくなっても電圧が下がりません。
バッテリー残量 | 電圧 |
---|---|
100% | 12.71V |
4% | 12.71V |
残量が100%の時と4%の時を比較しましたが、違いはありません。電圧は「Jackery 400」と比べると「約0.6V」低い12.7Vでしたが安定していました。
シガーソケットはUSBポートに変換できる
普段あまり使い道のないシガーソケット出力ですが、カーチャージャーを使うと有効活用できます。
今回はUSB-Cが最大30W、USB-Aが最大18Wのカーチャージャーを使用しました。USB-Cポートを使ったPD充電が普及してきたとはいえ、まだまだ対応していない機器もあるのでUSB-Aの急速充電もあると便利です。
手軽にUSBポートが増やせるので、1つ持っておくと重宝すると思います
電化製品を動かしてみた
Jackery 300 Plus を使って電化製品がどれくらい動かせるのか検証してみました。
おひとりさま超高速弁当箱炊飯器
この炊飯器を使う前はシガーソケットから電源を取るタイプの製品を使っていましたが、今は「サンコー おひとりさま超高速弁当箱炊飯器」を愛用しています。この炊飯器のいいところは消費電力が200Wと低いので、それほど高価なポータブル電源でなくても動かせることと、美味しいご飯が20分程度で炊きあがることです。
バッテリー残量100%から炊飯を開始して、19分で炊飯完了(残量82%)、10分蒸らし(残量79%)でご飯が炊けました。
電気ひざ掛け
バッテリーの容量的に電気毛布を長時間動かすのは厳しいので、電気式のひざ掛けを使ってみました。
- サイズ:120×60cm
- 消費電力:40W
- 消費電力量:弱=約5Wh、適温=約25Wh、強=約40Wh
- 表面温度(目安):弱=約23度、適温=約33度、強=約40度
室温約20度の部屋でバッテリー残量100%の状態から、設定温度を「適温」より少し高めにして2時間使用した時の残量は、「83%」になっていました。
卓上扇風機
USBから電源を取る卓上扇風機を動かしました。
- 出力:5V/1A
- 消費電力 (最大):4W
バッテリー残量100%の状態から、3段階あるうちの一番強い風量の「強」で12時間動かした時の残量は、[86%]になっていました。風量は「中」でも十分涼しいのですが、消費電力が低すぎてバッテリー残量の表示が減らないため、「強」で検証しました。
内蔵LEDライトのときにも同じ症状がでましたが、改善してほしいです
ノートPC
バッテリー残量100%の状態から、Macbook Air 2019年モデル(intel Mac)で、Youtubeを12時間再生した時の残量は70%でした。Youtubeの再生ではそれほどCPUに負荷はかかっていないでしょうが、この組み合わせなら長時間の作業ができると思います。
Nintendo Switch
Switchを持ち出して快適に遊ぶことを想定して、モバイルモニターに繋いで遊んでみました。
モニターは Power Delivery対応で、Switchとモニターを繋ぐだけで電力供給と映像出力が可能なので、ポータブル電源はモニターに繋ぐだけのシンプル配線。 ゲーム中の消費電力は6~7Wで、バッテリー残量100%から5時間半遊んだ時の残量は88%でした。
Switchを持ち出して大きな画面で遊べるのは快適です
Jackery 300 Plus の充電性能
Jackery 300 Plusは AC、USB-PD、ソーラーパネル、シガーソケットからの充電に対応しています。
ACからの充電
記事冒頭にも書きましたが、Jackery 300 Plus はACアダプターを使って充電するタイプのポータブル電源と違い、本体にケーブルを挿すだけで充電ができるようになり、アダプターの熱さ対策をしなくてよくなりました。
入力の最大値は200Wで、バッテリー残量0%から100%まで1時間50分で充電が完了しました。
EPS機能で停電しても電力を中断させない
電化製品をポータブル電源のAC出力ポートに挿して、ポータブル電源を家のコンセントに繋いで使用すると、停電が起こっても、20ms(0.02秒)以内にポータブル電源からの電力に切り替わります。
ただし、UPS(無停電電源装置)のように 0ms で切り替わらないので、サーバーのような無停止給電が必要な機器への接続は推奨されません。
USB充電
Jackery 300 Plus はUSB-PD充電に対応しています。充電時間はACアダプターより長くなりますが、普段パソコンや携帯に使っている充電器をそのまま使えるのは便利です。
入力の最大値は100Wですが、60Wや30Wの充電器でも充電できます。
バッテリー残量15%から100%まで、PD100Wの充電器で3時間13分で充電できました。
ソーラーパネルからの充電
Jackery 300 Plusとsolarsaga 40の組み合わせのセットが販売されていますが、発電量が晴天でも30Wいかないようなので、solarsaga80で検証しました。
Jackery 300 PlusにはDCポートがないので、付属の変換プラグに繋いでUSB-Cポートに接続します。
検証は11月上旬の14時頃、天気は雲一つない快晴の中で行い、発電量は「55W」でした。別の日になりますが、バッテリー残量9%から4時間充電すると60%まで増えていました。
シガーソケットからの充電
Jackery 300 Plusにはシガーソケット用充電ケーブルが付属しないので、Jackery400の充電ケーブルを使って充電したところ、53W前後で充電していました。容量の少ないポータブル電源なので、移動中でもそこそこ充電できると思います。
小型のポータブル電源にこそシガーソケット用充電ケーブルを付属してほしかったです・・・
カーチャージャーを使って充電
シガーソケット用充電ケーブルはアマゾンなどで購入できますが、カーチャージャーを使っても充電できます。
PD30Wの充電器では入力が半分程度になりますが、ポータブル電源のシガーソケット出力をUSBポートに変換用にも使えるので、充電速度にこだわりがなければオススメです。
Jackery 300 Plus を使って気になったところ
Jackery 300 Plusは完成度の高いポータブル電源だと思いますが、気になったところもあります。
- 消費電力の低い電化製品を使った時
- バッテリー容量が少ない
記事中にも書きましたが、消費電力の低い電化製品や内蔵LEDライトを使った時にバッテリー残量の表示が減りません。平常時に使う場合はそれほど気になりませんが、災害時などで停電したときにはバッテリー残量を把握しておきたいので困ります。ファームウェアのアップデートで改善できるのであれば是非対応してほしいです。
Jackery 300 Plusのバッテリー容量は「288Wh」でどちらかというと Jackery240の「241.9Wh」に近く、Jackery400と同じような感覚で使っていると、「もうこんなに減ったの?」と感じます。
Jackery 300 Plusは、Jackery240と Jackery400の後継機として位置づけられていると思うのですが、個人的にバッテリー容量は400Whだったら良かったのになと思っています。
【まとめ】非常時の備えに最適なポータブル電源
Jackery 300 Plusは コンパクトな筐体はそのままに、Jackery400 で不満に感じていたところが改善されました。
小型軽量なので災害が起こって避難所に行くようなことがあっても持ち運べる大きさです。Jackery400と比べてバッテリー容量は減りましたが、非常時には十分な容量です。LEDライトも追加されたこともあり頼もしいポータブル電源に進化したと思います。
今まで気軽に持ち出せるポータブル電源は Jackery400でしたが、Jackery 300 Plusに更新されました。保証やサポートも充実しているので初めてのポータブル電源としてもオススメです。