ヤマハから発売されたミドルクラスの完全ワイヤレスイヤホン「TW-E5B」を購入しました。
別記事でレビューしたエントリーモデルの「TW-E3B」が好みの音質だったので、つい期待値は高くなりましたが、実際に聴いてみると想像以上に綺麗な音で、特に中高音のクリアさに驚かされました。
購入後、メインのイヤホンとして2ヶ月ほど使用したので、感じたことや気付いたことを記事にまとめました。
ヤマハ TW-E5Bの特徴とスペック
TW-E5Bの特徴は以下の通り。
- 圧倒的にクリアな中高音
- aptX Adaptive接続でハイレゾに匹敵する高音質
- 抜群のフィト感
- IPX5防水(シャワーを浴びても大丈夫)
- 操作性に優れる物理ボタン
- 小さな音量でも音楽を楽しめるリスニングケア
前モデルにあったノイズキャンセル機能は無くなりましたが、遮音性の高いイヤホンなので問題はなく、その分バッテリーの持ちが良くなり個人的には好印象。
クリアな音質への拘り

ドライバーはTW-E5B用に一新。振動板の変更で信号をより正確に動かせるようになりました。さらにドライバーユニットの配置や筐体内の空気の流れを制御してクリアな音作りに貢献しています。
高音域は障害物の影響を受けやすい
高音域は真っ直ぐに進もうとする性質が強く、障害物の影響を受けやすい特徴があります。TW-E5Bはドライバーユニットとノズルを同軸上に配置することで、音の出口までの障害物をできる限り排除してダイレクトに届けます。

TW-E5Bを初めて使ったときは、クリアな音質に驚かされました
「aptX Adaptive」を使ってハイレゾ並みの音質を楽しむ


「aptX Adaptive」とは、音声データを送信するときに使用される圧縮方式の一つで、多くのアンドロイド端末やイヤホンで採用されている高音質で低遅延な「aptX」をさらに高音質・低遅延化したものです。
「aptX」がCD相当の音質(16bit / 44.1kHz)なのに対して、「aptX Adaptive」はハイレゾ(24bit / 48kHz)に匹敵する高音質な規格です。
実際に「aptX Adaptive」対応のアンドロイドスマホと「iPone(AAC)」を使って、「Amazon Music」の同じ音源を聴き比べたところ、明らかに「aptX Adaptive」の方が解像感が高く、音が一皮むけたような印象を受けました。



コーデックの違いに期待していなかったので嬉しい誤算です!
TW-E5Bのスペック
形式 / ドライバー径 | 密閉ダイナミック型 / 7mm |
---|---|
重量 | 6.5g(片側) |
Bluetooth | 5.2 |
無線出力 | Class1 |
ペアリング台数 | 3台 |
対応コーデック | SBC、AAC、aptX Adaptive |
防水仕様 | IPX5 |
再生可能時間 | 30時間(本体8.5時間 + 3回ケース充電) |
片耳モード | 有り(左右どちらでも可能) |
本体の再生時間が旧モデルと比較して2時間長くなり、8.5時間になったのは嬉しい変更です。



ただし、ペアリングが3台しかできないのは少なすぎます。ミドル機なんだから、せめて5台はできるようにしてほしかった…
TW-E5Bの外観と機能


収納ケースは光沢を抑えた質感で安っぽさはありません。前モデルやTW-E3Bは全体的に丸みを帯びた可愛いいデザインでしたが、TW-E5Bは丸みの中にもエッジの立ったかっこいいデザインになりました。
インジケーターは旧モデルの1個から4個に増えて、バッテリー残量の管理がしやすくなっています。


ケースの蓋にはスピーカーのメシュのような加工が施されていて、音楽機器メーカーのヤマハならではのデザインになっています。ワンポイントの音叉マークがカッコいい!


イヤホン本体にも同じ加工がされていて統一感があります。


物理ボタンは触れただけで反応してしまう感知式のような誤操作がなくて使いやすく、イヤホンをつまむように操作するため、押し込んでも耳にめり込みません。


見た目は大きなイヤホンですが、独立型ワイヤレスイヤホンとして平均的な重さで片側6.5グラム。


ケース込みでは59.3グラム。ケースの大きさは横62ミリ × 縦34ミリ × 高さ50ミリで大きな部類に入ります。


TW-E3Bと比較するとTW-E5Bの方がだいぶ背が高く、ポケットに入れて持ち歩くには厳しいかもしれません。
最大30時間の長時間駆動


ケースにイヤホンを収納するとインジケーターが赤色に点灯して充電開始。満充電までは約1.5時間。10分間の充電で約1時間の再生が可能。


ケースの充電は背面のUSB-Cポートを使用して、満充電までは約2時間。駆動時間はイヤホン単体で8.5時間、ケース充電を入れると30時間も使えるので、バッテリー切れで困ることはないと思います。
カーブ構造があらゆる耳にフィット


TW-E5Bはイヤホン内側に溝があって、この溝を耳の対珠(ついじゅ)と呼ばれる部分に引っかけるように装着すると、ホールド性が高まります。


さらにイヤホン内側の耳に収まる部分は楕円形になっていて、耳に装着してから回転させることでどんな形の耳にもフィットするようになっています。
TW-E5Bにはノイズキャンセル機能はありませんが、必要性を感じさせないくらいの遮音性です。
イヤホンの装着方法
言葉だけでは伝わりにくいので動画を見て頂きたい。


いくら高音質な仕組みを作っても、きちんと装着できないイヤホンでは意味がありません。TW-E5Bはいい音で音楽を楽しむために必要な密閉性とホールド性にも拘っています。



私の左耳は、どんなイヤホンを使ってもポロポロ外れていましたが、シュア掛け以外で初めて外れないイヤホンに出会いました!
イヤホンの出っ張り


写真を見ても分かるように装着時にイヤホンがけっこう飛び出します。
そんな人がいるのか分かりませんが、イヤホンをした状態で着替えをすると、Tシャツを脱ぐときに引っかかって外れてしまいました。個人的には気にしませんが参考までに。



TW-E5Bのフィット感が最高すぎて出っ張りは気になりません!
便利な片耳モード


最近の独立型ワイヤレスイヤホンでは珍しくない機能ですが、TW-E5Bは片耳モードが使えます。
このモードは、どちらか一方のイヤホンで使用した際、左右の音が片側のイヤホンから流れるモノラルとして聴けるので違和感なく音楽を楽しめるだけでなく、宅配業者が来る予定がある時など、周囲の音も聞きたいときに便利です。
また、片耳モードの状態からもう片方をケースから取り出すとステレオモードに切り替わりますが、ペアリングの設定をいちいち変更する必要はなく、自動的に切り替わる優れものです。



交互に使うことで連続で長時間使えるようにもなります
防水性能は「IPX5」


一般的にイヤホンの防水性能は「IPX4」の生活防水レベルが多い中、TW-E5Bは「IPX5」の完全防水レベルに対応しています。
IPX4とIPX5の違い
IPX4 | IPX5 |
---|---|
雨による水滴や水しぶき程度、濡れた手で触れる | 緩い水流やシャワー、イヤホンを水洗いできる |
IPX5のほうが扱いは断然楽です。
一般的なイヤーピースが使える


軸の直径が4.4ミリ、先端が6ミリとなっていて先端が少々太いですが、サードパーティー製のイヤーピースが使えます。先端にはゴミの侵入を防ぐフィルター付。


写真は「SednaEarfit XELASTEC」のMSサイズを装着したものです。他には「final TYPE E」のMサイズも使えました。どちらも充電ケースに収まります。
付属品一覧


付属品
- 充電ケース
- イヤーピース:SS、S、L(Mサイズは標準で装着済み)
- USB-A to Cケーブル
- マニュアル
マニュアルはTW-E3B同様簡素なものなので、詳しい情報はオンラインのマニュアルを参照する必要があります。
TW-E5Bの音質


音質は「aptX Adaptive」で接続した時の印象になります。
「TW-E5B」は、とにかく中高音がクリアでボーカルの声がよく聴こえます。
特に女性ボーカルやアコギの弾き語りのような曲との相性が良く、秦基博のアルバム「evergreen」を聴くと、ギターの弦を弾く音や息使いを直ぐ近くに居るかのように感じました。
解像感が高くて分離もいいから、クラシックを聴くとオーケストラの色んな楽器の音が聴こえて楽しいです。
意外だったのが低域。控え目だった「TW-E3B」とは違い、結構しっかり出ますが、ボワつきのないメリハリのある低音で、ROCKとの相性も良好。クリアな中高音との組み合わせで音に厚みが増し、元気な音を聴かせてくれます。
「TW-E5B」の音を一言で表現するなら綺麗な音。「TW-E3B」も綺麗な音でしたが、さらに2段階くらい磨き上げられた印象です。
イコライザを使って自分好みにカスタマイズ


ヤマハのイヤホンアプリに、ようやくイコライザが搭載されました。
私は低音が少し強く感じたので、BASSを少し下げて聴いています。こういうことはTW-E3Bではできなかったため、自分好みにカスタマイズできるのは快適です。
TW-E5Bの付加機能
スマホアプリが「Headphone Control」になり出来ることが増えました。
外音取り込み機能と通話品質


TW-E5Bはイヤホン自体の遮音性が高く、外音取り込みは必須の機能と言えます。
実際に使用してみるとホワイトノイズが少なくて籠もった感じもなく、イヤホンを付けていないかと思うくらい自然な聞こえ方をします。



イヤホンをしたまま周囲の状況を把握したり、会話できるのはすごく便利です
外音取り込みの設定方法


設定するにはアプリを使う方法とイヤホンの物理ボタンを使う方法があります。
- アプリで「AMBIENT SOUND」を「ON」にする
- 左のイヤホンのスイッチを「ダブルクリック」
実用レベルの通話品質
通話品質は「iPone」のボイスメモアプリを使って比較しました。
音声は若干こもって聞こえますが、聞き取りにくいということはなく十分通話できるレベルでした。「TW-E5B」には音声と雑音を分離して通話相手にノイズを伝えないようにする機能が搭載されているようですが、音楽をかけた部屋での比較では違いを感じられませんでした。
その代わり、録音を開始すると自動的に外音取り込みモードが「OFF」になって周囲の影響を受けにくくなりました。元々「OFF」の状態では変化はありません。
いまいち実感できないリスニングケア


「リスニングケア」は小さな音量の時に聴き辛くなる低域と高域のレベルを上げて、必要以上にボリュームを上げることなく、耳への負担を低減しながら音楽を楽しめるようにするヤマハ独自の仕組みです。
TW-E3Bで試した時はイマイチ実感できなかった「リスニングケア」ですが、TW-E5Bになっても同じ印象です。ボリュームを30%くらいにして聴き比べると、若干低音が出るように感じましたが高域の違いは分かりませんでした。



小さな違いが耳にとっては大きな違いとなるのかもしれませんが、劇的な変化は感じられませんでした
その他にアプリでできること


「GAMING MODE」を使わなくても低遅延
TW-E5Bには遅延を低減する「GAMING MODE」がありますが、「OFF」の状態でも遅延を感じません。
検証のために「Youtube」と「Amazon prime video」をアンドロイドスマホ(aptX Adaptive)と iPone(AAC)を使って視聴しましたが、どちらも遅延は感じませんでした。



個人的に「GAMING MODE」を実感できませんでしたが、タイミングにシビアな音ゲーでは効果があるかもしれません
スマホでマニュアルが見れる


それ以外にも「ファームウェアの更新」や「オートパワーオフの時間設定」ができますが、私は「ユーザーガイド」が見れることが気に入りました。
製品の同梱品として詳しいマニュアルは付属しませんが、スマホで何時でも何処でも確認できるのは便利です。
【まとめ】aptX Adaptive が使えるなら買い!


TW-E3Bの印象が良かったためハードルが上がりましたが、期待を上回る音質でとにかくいい音で音楽を楽しみたい人にオススメのイヤホンです。
ノイズキャンセリング機能が無いことや、アプリで出来ることが他社製品に比べると必要最低限といったレベルですが、その分の開発コストを「いい音作り」に全振りしたんじゃないかと思えるようなイヤホンです。
実売価格が1万2千円ほどで購入できるようになり、買って損はないと思います。
「aptX Adaptive」が使えるなら、自身を持ってオススメできるイヤホンです。
こんな人にオススメ
- 高音質で音楽を楽しみたい人
- ノイズキャンセリング機能が無くてもいい人
- 「aptX Adaptive」が使える人
- イヤホンに1万円以上出せる人

