
ポータブル電源の中でも10万円以下で買える「大容量・高出力」の製品は、今までライバル不在の状態もあって「Jackery700」の独壇場でした。
今回、suaokiが満を持して発売した「suaoki S670」は、後発だけあってスペックも価格も「jackery700」を意識した、かなり魅力的な製品となっています。
S670に興味がある方は、「Jackery700と比較してどうなのか?」「 suaoki G500から買い足すほどの進化があるのか?」が気になると思いますが、その辺りの比較も交えて「S670」の使用感を紹介していこうと思います。
目次
suaoki S670の特徴
私が思うsuaoki S670の特徴をまとめました。
- 正弦波・720Whの大容量で500W(最大1000W)の高出力
- 優れたバッテリー監視や制御によって高い安全性を実現
- QC3、45WPDを備えた充実のUSB出力
- 全ての充電性能が高い
- 非常時に役立つLEDライト
この後で説明していきますが、個人的にはPD充電に対応してくれたことと、ACアダプターからの充電時間が大幅に短縮されたことが嬉しいです。
suaoki S670の外観
Jackery700やG500と比べると細長くなった印象で、操作面と差し込みは狭い方の面に集中しています。デザインとしてはゴツゴツしてカッコいいです!
反対側の面にはS270やS370と同じようにLEDライトが装備されています。
側面のスリットの半分は通気口になっていて、反対側も同じ作りになっています。どうでもいいことですが、こちらの面の「suaoki」のロゴは充電中に点滅します。
取っ手は折りたたみ式ではありません。Jackery700やG500は上面がフラットになって、上に物が載せられたからちょっと残念。
底面には両端に大きなゴム足が付いていて、斜面に置いても滑りにくくなっています。
Jackery700とサイズを比較しました。横幅は狭いですが、その分縦長です。
バッテリーの容量はほぼ同じでも本体の大きさはS670の方が大きく、重量もJackery700の6.3kgに対して7.85kgもあります。
付属品はACアダプター、シガーソケット用充電器、ソーラーパネル用ケーブル、マニュアルとお礼のカードです。
suaoki製品は、ソーラーパネル用のケーブルが同梱されているから、間違ったものを買ってしまう心配がなくていいですね!
内蔵LEDは強力で使い勝手がいい
内蔵LEDライトはかなり明るくて、普通に懐中電灯くらいの光量があります。ライトは「強」「弱」「点滅」に切り替えて使えます。
真っ暗な部屋で、3メートルくらい先を照らすとこんな感じになります。かなり明るいですが、スポットライト的な明るさで、部屋全体を照らすような明るさではありません。
直線的なライトですが、天井に向けて照らすと光が反射して、部屋全体をぼんやりと照らしてくれます。けっこう広い部屋でも光量「弱」で、これくらいの明るさになるので、暗くて困ることはありません。(天井の壁紙が白色の場合)
普段の照明器具の明るさと比べるとかなり暗いですが、ライトが当たっている天井の真下あたりでは、これくらいの明るさがあるので、食事するくらいは充分可能です。
これくらいの明るさがあれば、停電した時でも充分朝までやり過ごすことができると思います。ただしスイッチ類が下になるので、まっ平らなところ以外では、両端を少し浮かせる必要があると思います。
suaoki S670の出力性能
suaoki S670は、交流110V、直流13V / 10A、直流12V / 10A、USB/TYPE-A、USB/TYPE-Cの出力が可能です。出力の最大は全ての出力の合計で500Wまでです。
放電深度(DOD)について
suaoki S670は電池の寿命を最大化するために電池容量の90%しか使用できないようにして、残りの10%は電池を保護するために確保されています。実際に使える容量は減りますが有り難い仕組みです。
操作方法は簡単で、電源を入れた後、それぞれの差し込みの上にあるボタンを押すだけ。使える状態の時は青色のLEDランプが点灯して、すべての出力は同時に使えます。
注意ポイント
ACは使い終わったら、もう一度ボタンを押してランプを消しておかないと、インバーターといって直流を交流に変換する装置が電気を消費し続けます。
モニターにはバッテリー残量が表示されますが、%で表示されるのではなく、低価格帯のポータブル電源によくある5段階表示の大雑把なものです。
これはG500の不満点だったので、S670では改善してほしかった…
%表示が完璧に正確とは思いませんが、あとどれくらい使えるか予測しやすく、電気のやり繰りがしやすいので、せめて10%刻みにしてほしかったです。%表示に慣れてしまうと、どうしても物足りなさを感じてしまいます。
使用中に電源ボタンやACやDCのボタンを押すと、モニターがしばらく点灯します。色がきれいで屋内では見やすいのですが、スマホの画面のように昼間の屋外では見づらいです。
ディスプレイに関しては、給電中と充電中は常に画面が点灯して、しかも腕時計のような液晶で屋外でも見やすいJackery700の圧勝です。
AC (交流) 出力
差し込みは4口もあります。そのうちの2口はアース端子付コンセント対応になっているので、パソコンやモニターを変換無しで動かせます。
AC出力の特徴
- 電圧:110V
- 出力周波数:50Hz / 60Hz
- 出力 (定格):500W
- 出力 (瞬間最大):1000W
- 差込口:4口
- 波形:正弦波
AC電源の波形をオシロスコープという測定器を使って確認したところ、きれいな正弦波をしていました。S670はG500と同じように周波数を50hzと60hzに切り替えることができます。(切り替えの手順は次の項目で説明しています)
正弦波とは?
ポータブル電源から出力できる交流には、大きく分けて正弦波と修正正弦波(矩形波)の2種類があります。
正弦波の波形は、なめらかな曲線で安定しているので、高品質な電力を供給することができます。また、家庭のコンセントからとれる電気とほぼ同じなので、ほとんどの家電が使えます。
それに対して修正正弦波は、ブロック状の直線的な波形をしています。そのため精密機器やモーターを必要とする電化製品、マイコン制御の電気毛布など、波形に依存する製品は使えません。
50Hzと60Hzの切替手順
①.本体の電源を入れます
②.ACボタンとDCボタンを同時に長押しして表示を変えます
③.ACまたはDCボタンを長押しして周波数を変更します(初期設定は60Hz)
④.ACボタンとDCボタンを同時に長押しすると、最初の画面に戻って変更が確定されます。一度設定を変更すると、次に変更するまでは電源を切っても引き継がれます。
最近の電化製品なら、どちらの周波数にも対応しているとは思いますが、周波数が変えられるので普段使っている電化製品を安心して使えます。
S670でポータブル冷蔵庫を動かしてみた
車載用 冷蔵庫をシガーソケットに接続して動かしてみました。
室温は28度で、冷蔵庫の出力設定は「MAX」、温度設定は一番低い「-22度」で6時間動かした時の経過を表にまとめました。
経過時間 | 消費電力 | 庫内温度 | バッテリー残量 |
0 | 64W | 21度 | 5メモリ |
30分 | 50W | -2度 | 5メモリ |
1時間 | 45W | -8度 | 5メモリ |
1時間30分 | 41W | -12度 | 5メモリ |
2時間 | 39W | -15度 | 5メモリ |
3時間 | 37W | -19度 | 4メモリ |
4時間 | 34W | -20度 | 4メモリ |
5時間 | 35W | -19度 | 4メモリ |
6時間 | 35W | -19度 | 3メモリ |
電源を入れた時は64Wあった消費電力も、1時間を過ぎた頃には45Wまで下がって、庫内が最低温度になると34~37Wあたりで安定していました。設定では-22度でしたが、実際には-20度が一番低い温度となりました。
試しに、常温で保管していた500mlのペットボトルのお茶を、左右と真ん中に3本立てて入れていましたが、側面2本はかなり凍っていました。
冷蔵庫は設定温度になると運転を休止する仕様なので、家の冷蔵庫と同じ「5度」くらいで運用した場合、消費電力はもっと少なくて済むと思います。
ちなみに、この冷蔵庫は500mlのペットボトルはもちろんのこと、1Lの牛乳パックやコーヒーのペットボトルも立てて冷やせます!
車載用 冷蔵庫のスペック
- DC対応電圧:12V/24V
- AC対応電圧:100-240V、50/60Hz
- 定格消費電力:35W
- 冷蔵庫内サイズ:幅350mm x 奥行246mm x 高さ273mm
-
-
【F40C4TMP レビュー】容量25Lのポータブル冷蔵庫をポータブル電源やいろいろな条件下で使ってみた
ポータブル冷蔵庫を購入してからアウトドアでの使用に留まらず、普段の買い物や遠方から生物を買ってこれたりと、思っていた以上 ...
続きを見る
その他に動かしてみた電化製品
消費電力75Wの電気毛布を「中」で6時間動かした時のバッテリー残量の推移が下の表になります。この冬最後の寒波が来たので、窓を全開にして できるだけ室温を下げて検証しました。
経過時間 | 室温 | バッテリー残量 |
0 | 5.1度 | 5メモリ |
1時間 | 3.8度 | 5メモリ |
2時間 | 3.2度 | 5メモリ |
3時間 | 2.8度 | 4メモリ |
4時間 | 2.4度 | 4メモリ |
5時間 | 2.0度 | 3メモリ |
6時間 | 1.7度 | 3メモリ |
真冬の車中泊やキャンプで使用する場合は、0度を下回るくらいの気温になると思うので、バッテリーの消費はもう少し早くなると予想されます。
-
-
【検証】ポータブル電源を保温バッグに入れて電気毛布を使ってみた
冬場のキャンプや車中泊で、電気毛布を使うためにポータブル電源を購入する方がいると思いますが、気温が低い環境で使用すると本 ...
続きを見る
室温12度、設定温度18度でファンヒーターを動かしてみました。
運転開始時の消費電力は一瞬460Wくらいまで上がりましたが、定格の最大出力が500Wなので途中で止まることなく問題なく動かせました。
燃焼が落ち着いてくると消費電力は160~190W前後で時々0になる感じで動いて、6時間動かした時のバッテリー残量は2メモリでした。(2メモリなって直ぐくらい)
ファンヒーターのスペック
- 最大消費電力:390W(点火初期に短時間発生)
- 定格消費電力:129W(大火力時)
- 定格消費電力:62W(小火力時)
LEDスタンドを光量別に消費電力を計ってみました。
強にした時の消費電力は約9.2Wで、中の時は約5.7W、弱の時は約3.7Wでした。
「弱」で48時間点灯させた時のバッテリー残量は3メモリでした。(たぶん2メモリに近い3メモリ)全容量を使うとどれくらい点灯させられるのかはやっていませんが、1日12時間使った場合、確実に4日間は持つことが確認できました。
LEDスタンドのスペック
- 出力:12V/1A
- 消費電力:約10W
ACモーターで動く一般的な扇風機を動かしてみました。S670は正弦波なので、モーターからの異音もなく問題なく動きました。
風量を「強」で動かした時の消費電力は44W、「中」で33W、「弱」で30W、「微風」で26Wで、満充電から微風で動かした時のバッテリー残量の推移をまとめたのが下の表になります。
経過時間 | バッテリー残量 |
0 | 5メモリ |
6時間 | 4メモリ |
12時間 | 3メモリ |
18時間 | 3メモリ |
24時間 | 1メモリ |
だいたい6時間で1メモリ減る感じなので、全部の容量を使い切ると30時間くらい動かせると思います。
ACモーター扇風機のスペック
- 電源:100V 50/60Hz共用
- 消費電力:30W
- 羽サイズ:30cm
AC電源ではありませんが、卓上扇風機を動かしてみました。消費電力は強で4.38W、中で2.27W、弱で1.21Wでした。
風量「弱」でだいたい52時間動かした時にバッテリーの残量が3メモリになっていました。
一番弱くても風量はそこそこあるので、寝苦しい夜でも枕元に置いておけば、暑さをしのぐには充分な風量があります。
卓上扇風機のスペック
- 出力:5V/1A
- 消費電力 (最大):4W
-
-
停電時の備えにもなる 充電式 卓上扇風機
もともとポータブル電源のアダプターが充電中にかなり熱くなるので、冷却用に買った卓上扇風機ですが、実際に使ってみて思いのほ ...
続きを見る
その他 電化製品稼働時間、及び充電回数の目安
注 意稼働時間と充電回数はメーカー公表値です。
消費電力430Wの湯沸かしポットは動かない
今までJackery700との組み合わせで便利に使っていた最大消費電力が430Wの電気ポットは使えませんでした。個人的にはかなり残念です。
正確には暫くは動かせるけど途中で止まってしまいます。Jackery700で動かした時の消費電力は最大でも413Wだったのですが、S670の場合は500Wをずっと超えた状態が続きます。
その結果「E36」というインバーター出力過負荷保護機能が働いて止まります。
原因は、S670の電圧が110Vであることが原因と思われます。実際にS670の電圧を計ってみたところ、ほぼカタログのスペック通りの「109.5V」ありました。
Jackery700は「100.4V」でこちらも、ほぼカタログ通りの値でした。ちなみに家のコンセントは「104V」ありました。
下の表はS670とJackery700とG500のバッテリー残量と電圧の推移をまとめたものです。
バッテリー残量 | S670 | Jackery700 | G500 |
100% | 109.5V | 100.4V | 110.5V |
80% | 109.5V | 100.4V | 110.5V |
60% | 109.5V | 100.3V | 110.2V |
40% | 109.5V | 100.4V | 110.4V |
20% | 109.5V | 100.4V | 110.5V |
この中で一番電圧の高い「G500」を今まで使ってきましたが、不具合が起こったことは一度もないので、S670についても心配する必要はないと思いますが、次の項目でも説明している変圧器を使用すると安心です。
注意ポイント
日本のACの電圧は100Vですが、世界的に見ると珍しく、殆どの国では110V~240Vの電圧になっています。そのため、100Vの電圧で使用することを想定した電化製品を高い電圧で使用すると故障の原因になってしまうだけでなく、熱に変える電化製品の場合、危険が伴うようなので使用しない方がいいと思います。
S670のアダプターには、100V~240Vまで使えると書いてあるので、世界中どこでも使えます。
いつも使っている湯沸かしポットには、100Vとしか書いてないので、100V以外の電圧で使用する場合は、変圧器を使ったほうがよさそうです。
S670と湯沸かしポットを車に積んでラーメンツーリングに行こうと思っていましたが、予定が狂いました。
ダウントランスを使えば使用可能!
S670に直接つないだ時は途中で止まりましたが、ダウントランスといって電圧を下げる装置を経由すると使えるようになります!
容量は550Wのものもありましたが、1100Wのもと800円くらいしか違わなかったので、余裕をもって1100Wの製品を選びしました。小さい割に2.7Kgもあるので、かなり重く感じます。
実際にS670に繋いで電圧を計ってみたところ「91.4V」でした。ダウントランスを使わなかった場合が「109.5V」だったので、「約18V」も下がりました。
ダウントランス NDF-1100Uの仕様
思っていた以上に電圧が下がったので、メーカーに問い合わせたところ、「NDF-1100Uは、AC120V入力でAC100V出力の仕様で、AC110Vの場合、入力電圧が低い分出力電圧も低くなります」という回答をいただきました。
製品の説明欄に入力電圧は「AC110~130V」と書いてあったので、入力の電圧によって切り替わるのかと思っていましたが、「120V」固定で作ってあります。
実際に使ってみると、消費電力は「506W」から「353W」まで減少。
電圧は低くても、お湯は「97.2度」まで17分で沸かすことができました。
4,000円くらいのポットを動かすために、6,000円くらい出費する意味があるのかは人それぞれですが、安心して使えるのは確かです。
DC (直流) 出力
DC出力の特徴
- 電圧 / 電流 (シガーソケット):13V / 10A
- 電圧 / 電流 (DCポート):12V / 10A
- 最大出力:130W
- 差込口:シガーソケット1口、DCポート2口
低価格帯のポータブル電源の直流は、充電量が減るにしたがって電圧が下がりますが、S670の場合はどうなるのかを、バッテリーの残量と電圧の変化を表にまとめました。
バッテリー残量 | 電圧 |
---|---|
100% | 13.50V |
80% | 13.49V |
60% | 13.49V |
40% | 13.49V |
20% | 13.49V |
もはや、この価格帯のポータブル電源では、DCの電圧が下がらないのは当たり前のようです。残量が20%になっても13.4Vをキープしていました!
バッテリーの残量が減っても電圧が下がらないので、1合の米をバッテリーの残量が2メモリの状態から炊いてみました。
結果は全く問題なく、約37分で炊けました。
炊きあがりは、蒸らし時間を長く取りすぎて表面が少しカサついていましたが、かき混ぜると問題はなく、粒状感もしっかりした美味しいご飯が炊けました!
当然ながら、DCの電圧は13.4Vをキープ!
下の表は、ご飯を1合炊くのにかかった時間と炊飯後の電圧を比較したものです。
S670 | Jackery700 | G500 |
37分 | 36分 | 35分 |
13.49V | 13.30V | 12.88V |
S670とJackery 700は、走行中の車と同じ13Vを常に超えるため、12Vの電化製品の性能を、ずっとフルに引き出せます!G500は少し電圧が低いですが、炊飯の結果を見る限りでは問題なさそうです。
-
-
【レビュー】サンコー「おひとりさま超高速弁当箱炊飯器」をポータブル電源で使ってみた
巷で噂の『おひとりさま超高速弁当箱炊飯器』をゲットしました。 この商品は1合の米を19分で炊ける高速炊飯器で、発売当初は ...
続きを見る
USB出力
構成は、USB-PDが1口、急速充電のQC3.0が2口、5V × 3Aが2口となっています。これだけあれば困ることはないでしょう。
PD充電に対応する機器が普及してきた昨今、5V × 2.4AしかないJackery700や、PD充電できないG500と比べて大きな違いとなりました。(※USB-PDは給電のみ)
QC3.0出力の特徴
- 電圧:3.6V~20V
- 電流:2.6A、4.6A
- 最大出力:18W
- 差込口:2口
USB-C PD出力の特徴
- 電圧:5V、9V、12V、15V、20V
- 電流:3A、2.25A
- 最大出力:45W
- 差込口:1口
QC3の出力性能
Quick Charge 3.0は、接続機器に最適な電圧、電流を自動で判断して充電してくれる便利な規格です。さらに対応、非対応も判別してくれるので、アップル製品のようにQuick Chargeに対応していない機器を接続した場合は、通常の5Vで充電されます。
また、下位互換性があるので、Quick Charge 2.0にしか対応していない機器でも、Quick Charge 3.0ポートで使えます。
S670のQC3ポート急速充電対応規格
- Apple2.4A
- USB-DCP-5V-1.5A
- QC3 4.4V-12.0V
- QC2 9V、12V
- Samsung-AFC 9V、12V
- Huawei-FCP 9V
バッテリー容量5020mAh のアンドロイド携帯「Redmi Note 9s」の充電を、残量20%から充電してみました。QC3.0対応なので充電が早く、8.76V x 1.83A = 16W で充電していました。
30分で53%、60分で83%、90分で96%、1時間45分でフル充電になりました。1時間で80%まで充電できるのは けっこう早いと思います。
QC3.0の出力は最大18Wなので、性能をフルに発揮した満足のいく結果となりました。
USB-PDの出力性能
USB-PD(USB Power Delivery)は、USB TYPE-Cを使った高出力の給電が可能な国際標準規格で、S670の場合、最大45Wでの給電が可能となっています。また、1つの充電器やバッテリーで、スマホやタブレット、ノートPC、ゲーム機もカバーできる互換性の高さも特徴です。
注意ポイント
USB-PDで給電するためには、電気を送る側と受け取る側、そしてケーブルもUSB-PDに対応しておく必要があります。どれか1つでも欠けると、フルに性能が発揮されません。
バッテリー容量49.9Wh のMac Book Airの充電を、バッテリー残量20%から充電してみたところ、19.9V x 1.91A = 38W で充電していました。
Mac Book Airの充電について
Mac Book Airに付属していた充電器は、最大出力が30Wですが、S670は最大出力が45Wあるため、充電開始直後は「38W」で充電されていました。不安に思ったのでアップルに問い合わせると、「30W以上で電気を送っても、本体の方で30Wに落として充電される」と言われたのでホッとしました。
下の表はS670とアップル純正の充電器をバッテリー残量20%から充電した時の比較です。
経過時間 | S670 | 純正充電器 |
0 | 20% | 20% |
30分 | 50% | 48% |
60分 | 72% | 71% |
90分 | 87% | 86% |
120分 | 96% | 95% |
2時間16分で100% | 2時間20分で100% |
純正の充電器とほぼ同じ時間で完了。PD充電の結果にも満足!
iPhoneのPD充電について
PD充電は「TYPE-C to Cケーブル」を使いますが、iPhone8以降に発売された製品は、PD充電が可能です。ただし「USB-C to Lightningケーブル」といって片側がTYPE-C、もう片側がLightning端子になったケーブルを使うことが必須となります。
後からどうにもできないAC出力とは違い、USBの場合、USB充電器やカーチャージャーを使えば済むことですが、それでも後から何も買い足さなくていいのはありがたい!
suaoki S670の充電性能
S670は、ACアダプター、シガーソケット、ソーラーパネルからの充電に対応しています。
充電する時は、DCポートに充電器のプラグを挿すだけ。充電中は青色のLEDが点灯します。
ポータブル電源は、容量や出力がどれくらいあるのかに注目しがちですが、私は充電性能の良し悪しも重要視しています。S670は、全ての充電性能が高いレベルでまとまったポータブル電源です。
バッテリーの仕様
- バッテリータイプ:リチウムイオン
- 容量:720Wh (200,000mAh)
- 充電回数:500回以上
ポータブル電源の長期保管方法
マニュアルには最低でも3ヶ月ごとに1回は、放電 / 充電サイクルを実行することを勧めています。
パススルー充電について
S670は、充電しながら給電できるパススルー充電に対応していますが、マニュアルには「電池の使用寿命を長くするためには、充電と放電を同時に行うことはお勧めしません」と書いてあります。
パススルー充電はできるというだけで、緊急時のみにしておいた方がよさそうです。
ACアダプターからの充電
ACアダプターの仕様
- 入力:AC100~240V、50Hz/60Hz、2.5A
- 出力:DC42.0V、4.0A
- 充電時間:20%から約5時間で満充電 (MAX157W)
S670のACアダプターは、出力が高くて最大で「157W」もありました。今まで使ってきたポータブル電源の倍くらいの出力です!もちろん充電時間も早くて、720Whのバッテリーを残量20%の状態から、4時間56分で満充電にしてくれました。
ただし、充電中はファンが結構大きな音で回ります。耳障りな高周波ではないので私は気になりませんが、充電しながら同じ部屋で寝るのは辛いかもしれません。
下の表は、バッテリー容量とアダプターの最大出力と充電時間を比較したものです。
S670 | Jackery700 | G500 |
720Wh | 700Wh | 500Wh |
157W | 81W | 87W |
4時間56分 | 8時間6分 | 5時間11分 |
Jackery700と比べて3時間も早く充電が完了します。この差はかなり大きい!
ACアダプターは、出力の高さに伴って発熱量も多くなっているようです。室温が19度の時点でアダプターの一番熱くなるところは65度を超えました。これくらいの温度は許容範囲内だと思いますが、これから先、気温が高くなった時にどこまで上昇するのか心配になります。
マニュアルにもサイトにもアダプターの耐熱温度が書いてありませんが、G500の70度と同じとしてもまだ余裕はあります。それでもずっと触っていたら低温やけどをしそうなくらい熱いので、卓上扇風機を使ってアダプターを冷やしてみました。
その結果、一気に20度も下がりました!!
実際に触っても、ほんのり温かいくらいです。
夏場はアダプターの温度がもっと上がると思うので、涼しい部屋かアダプターを冷やしながら充電した方がいいと思います。
ソーラーパネルからの充電(100W)
ECO-WORTHY社製の100Wのソーラーパネル(据え置きタイプ)を使用して充電しました。
S670は、ソーラパネルに繋ぐMC4ケーブルが付属しているので別途購入する必要がありません。ケーブルによってコネクターのプラスマイナスが逆の物があるので、間違った物を買ってしまわないためにも、同梱されているのはありがたい。
チャージコントローラーとパネルの仕様
- 制御方式:MPPT方式
- 入力:12~45V / 最大168W
- 使用パネル:ECO-WORTHY / 100W / 17.3V / 5.78A
このパネルは、suaoki製やSmartTap製のフレキシブルタイプや折りたたみ式と比べると、重くて持ち運びには不便ですが、雨ざらしにしても大丈夫なところと安いのが魅力です。
suaoki製の100Wのパネルと比較すると、フレキシブルタイプで19,800円、折りたたみ式では24,000円もします…(アマゾンでの比較)
その点、ECO-WORTHYは、10,000円というお手頃な価格!しかも5年品質保証!
私は災害時に停電した時のためにパネルを購入したので、持ち運ぶことは重要視していませんし、9kgなのでガレージから外に出すくらいは苦にならない重さです。また、少々の風で動かないのはメリットでもあります。
※純正品以外のソーラーパネルの使用は自己責任でお願いします。
検証したのは、3月25日 15時ちょうど。天気は快晴で、発電量は85Wでした。もう少し早い時間帯なら、もっと多く発電できたかもしれません。
入力の最大値が168Wなので、150Wくらいのソーラーパネルを使うのがベストだと思います。
チャージコントローラーについて
ソーラーパネルで作られた電気を適切にバッテリーに保存する装置にチャージコントローラーがありますが、S670が採用している発電効率の優れたMPPT方式と、発電効率の劣るPWM方式があります。以前、MPPT方式とPWM方式のポータブル電源を使って検証した時は、MPPT方式の方が35%も多く発電していました。
-
-
ポータブル電源とソーラーパネルを延長ケーブルで繋ぐと電力の損失はどれくらいあるのか?
ポータブル電源にソーラーパネルを繋ぐと手軽に充電できますが、夏場の炎天下や急な雨降りのことを考えると、安心して外に放置し ...
続きを見る
ソーラーパネルからの充電(50W)
suaoki純正フレキシブルタイプ(パネルをある程度湾曲させて使えるため薄い)で50Wのソーラーパネルを使って充電してみました。
このパネルは、かなり軽くて1.2Kgしかありません。大きさも 69cm x 52cm と それほど大きくないので、持ち運びに適したソーラーパネルだと思います。その分 ちょっと風がきついと動いてしまうので、使う時はペグを打つか どこかに固定したほうがいいと思います。
100Wのパネルの発電量がが85Wだったので、その半分くらいはあるかと思っていましたが、思っていたより少ない39Wでした。
S670のバッテリー容量からすると実用的では有りませんが、それでも発電量の少ないパネルからでも充電できることを確認できました。
ソーラーパネルからの充電をやってみて感じたことは、天気がいいと思った日でも案外雲はあって、パネルの性能をフルに発揮させられる時間は、短いものだということです。思っているほど充電できないので、夜のうちに消費した分を、できるだけ回復させるくらいに思っておいた方がいいでしょう。
シガーソケットからの充電
シガーソケットからの充電は「121W」もありました。ACアダプターからの充電ほどはありませんが、シガーソケットからこれだけ充電できたら充分です!移動時間も無駄にしません!!
下の表はS670とJackery700とG500の入力値の比較です。
S670 | Jackery700 | G500 |
121W | 41W | 7W |
G500の7Wは論外ですが、Jackery700と比べてもS670の充電性能は圧倒的です!
「suaoki S670」レビュー まとめ
S670を実際に使ってどうだったのか、よかったところと、気になったところにまとめました。
よかったところ
- 720Wh / 500Wの大容量・高出力
- ACの出力が50Hz/60Hzに切り替えられる
- 正弦波なのでほとんどの精密機器が問題なく使える
- ACの差し込みが4口ある
- 全ての充電性能が高い
- USB出力の性能が高い
- ソーラーパネルと繋ぐMC4ケーブルが同梱されている
気になったところ
- バッテリー残量が%表示されない
- 消費電力430Wの湯沸かしポットが使えない
- 重い
一通り検証を終えてS670は、Jackery700やsuaoki G500の改善してほしかったところをカバーした、完成度の高いポータブル電源だなと思いました。
特に気に入ったところは充電性能で、suaokiが今まで強かったソーラー充電に加えて、ACアダプターとシガーソケット充電が大幅に強化された、非常に使い勝手のいいポータブル電源へと進化しました。
個人的には、お気に入りの湯沸かしポットが使えなかったり、バッテリー残量が%表示ではないところが気になりましたが、備え付けのLEDライトは明るく、大容量で高出力な出力性能や充電性能の高さも含めて、災害時の備えとして有効なポータブル電源だと思います。
suaoki 社製のソーラーパネル
金額は高くなりますが、安心の純正品はこちら